


サロン用予約システムについて、ご検討中の方の参考になるように、記事を作成いたしました。
なぜ予約システムが必要かについては、前回の「サロン用予約システムはなぜ必要か」を参考にしてください。
予約システムは、予約や関連業務の効率化、お客様にとっての便利さ、集客効果、費用などの観点から、ご納得のいくシステム選びをしてください。
予約システムを考える際に判断すること
まず、予約システムを導入するにあたっては、二つのうちどちらのタイプにするかの検討から入るのが良いかもしれません。
もちろん、併用することもできますが、それはあとで触れたいと思います。
二つのタイプとは次の二つです。
- 広告型ボータルサイト
- 独立型サイト
とりあえず、「広告型」と「独立型」という二つの言葉で分けてみました。
まずは簡単に広告型の特徴を整理してみましょう。
たくさんのサロンを集めてポータルサイトとして掲載されており、エンドユーザーが好きなサロンを選んで予約するタイプです。
「どこのサロンがいいかな?」と決めかねているお客様は、このようなポータルサイトを訪問して選択しますから、そのようなお客様については、来店が期待できます。
このようなサイトは全てではありませんが、そのポータルサイトとしての特性を生かして、次のような機能をつけて集客を図っています。
- 地域、メニュー等でサロンの検索ができる。
- ポイントの利用ができる場合が多く、どのサロンでも活用できる。
- サイト自体を宣伝する広告費をかけている
こう書くと良いことづくめに見えますが、これらのサイトの特徴としては次のようなことがあります。
- 利用経費が非常に高い。(予約システムの使用料というより、「掲載料」と呼ばれたりします。)
- 集客が目的のため、予約システムが使いやすいかどうかは疑問の余地がある。
では、まずここで、主な広告型ポータルサイトの料金体系を見ておきましょう。
システム名称 | 予約管理 | 顧客管理 | 売上管理 | プランと価格(税別) | 初期費用 | |||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
ホットペッパービューティ (※料金は地域等によって異なるようですので、お問い合わせください。) |
○ | △ | ○ |
プラチナLL 約700,000 (年間契約で約500,000) |
バリュープラン 約300,000 (年間契約で約200,000) |
シンプルプラン 約150,000 (年間契約で約100,000) |
ライトプラン 約100,000 (年間契約で約70,000) |
0? |
楽天ビューティ | 電話予約:1,000円/1件 ネット予約:施術料の15%/1件 電話転送システム料:300円/1件 成果通話料30円/1分 |
50,000 | ||||||
EPARK | 電話予約・ネット予約 2,500円/件 | 50,000 |
ここでは、リクルート社のホットペッパービューティー、楽天ビューティ、EPARKの3つを取り上げました。
ホットペッパービューティーは、価格をサイトで公表しておらず、地域等によって異なるようですが、一般的には、美容院の場合、競争の激しい都市部を除けば、通常8万円余りはかかります。
ライトプランが7万円程度ですが、消費税の他、ポイント代金として徴収される分がありますので、総額は8万円を超えます。
(※ポイント代金は支払いと受け取りの両方がありますが、受け取りの方は、単にお客様が利用したポイント分の補充ですから、結局、支払い分はサロン側の経費となっていることに注意してください。)
(※リラクゼーション関係は、これに対して1-2割程度低額の価格設定で、6万円ぐらいです。)
一方、楽天とEPARKは、いわゆる「成果課金型」の価格設定です。
一般に、実際に予約が入って施術を受けられた時に経費が上乗せされていきます。
固定月額料金がゼロなので、それほどリスクがないかなと思う方もあるかもしれません。
しかし、サイトを通じて電話やネット予約をするお客様の数が増えて来ると相当な金額となることを覚悟しなければなりません。
EPARKは一件当たり2,500円ですから、かなり高額です。
楽天ビューティは、電話予約が1,000円となっていますが、通話料が1 分当たりかかりますので、予約と問合せも含めた電話利用関係だけで、[1,000円]✖️[予約件数]以上の経費がかかります。
また、ネット予約の場合は、一件あたり15%かかります。
1万円のコースがあるとすると、1,500円です。
成果課金型に共通しているのは、かかってきた電話は、システム上まず課金対象とされますが、単なる問合せなどの場合は、システム上でいちいちクリックして課金対象から外す必要があります。
これが結構面倒であることは言うまでもないでしょう。
広告型サイトの普及状況
ご存知の通り、ホットペッパーが独占的な状況です。実際の契約数を見てみましょう。
- ホットペッパービューティー
美容室 約42,328店舗
ネイル,マツエクなど 約48,348店舗 - 楽天ビューティ
約17,800店舗 - EPARK
約82,700店舗 (これはグルメ、病院、薬局等様々な業種を含むでしょう)
出典:ValueFactory
日本の店舗総数は、衛生行政上、営業許可が必要な美容室・理容室については統計データがあり、平成30年度は美容室が25万1140店、理容室が11万9053店です。
ホットペッパービューティーが独占的状況とはいえ、意外と割合としては少なく、美容室の場合、全体の17%が契約しているに過ぎないという計算になります。
また、楽天ビューティやEPARKの場合は、ホットペッパービューティーに契約しつつ、一緒に契約しているところもかなりあると考えられます。
これは、ホットペッパービューティー以外の集客サイトからもお客様を集めるためです。
成果課金型なので、そこからお客さんが入るのであればそれで良いという考え方です。
ホットペッパーの問題点
美容室では日本の17%程度にしか過ぎませんが、重複の契約なども併せて考えると、美容室などのポータルサイトとしては、ほぼ一人勝ち的な状況です。
しかし、いくつかの重要な問題点もあります。
それは何でしょうか。
- 月額固定費が高い。
- 抜け出ることができなくなる
- エンドユーザー至上主義
○ 月額固定費が高い
先ほど書いたように、ホットペッパービュティーは、美容室でも通常は、最低で大体月額で8万円あまりはかかると見て良いでしょう。
しかもこれは年間契約の場合です。
1ヶ月だけという場合は、最低でも11万円あまりかかります。
このことは、次の問題点につながります。
○ 抜け出ることができなくなる
お客様は、常連の方も含めて、予約システムを使い慣れると、その予約システムをやめにするということが大変難しくなります。
解約すると予約できるサイトがなくなってしまうわけですから、ほとんどお客さんが来なくなるという状況になってしまうのではないでしょうか。
一旦入ったら最後、言葉は悪いですが、麻薬中毒にでもなったかのように抜け出れなくなります。
さらに、難しいのは、単独の月払いの支払い額と、年間契約の月当たり支払額が大きく異なることです。
ライトプランでは前者が10万、後者が7万ですから、3万円も異なり、どうしても年間契約にしておこうということになるかと思います。
とすると、「来月はやめにしよう」と思っても簡単にはやめることはできません。
○ エンドユーザー至上主義
もう一つの欠点は、「エンドユーザー至上主義」です。
ポータルサイトとして、サイトを訪れる予約見込みのユーザーが、リクルート社にとってのお客様で、実際に高額の経費を払っているサロンは、大事にされていないと思える局面に出くわすことになります。
もっとも、毎月、訪問する担当者のアドバイスや、システムの使い方に関する電話サービスについては、やはりお客様扱いされているという感じはありますが、次の点はそうではありません。
- 顧客情報のダウンロードができない。
- 悪い口コミでもサロン側の意見はほとんど聞いてもらえない。
- 安売りクーポン競争に陥りがち。
○顧客情報のダウンロードができない。
「そんなバカな?!」と思われるか知りませんが、これができないです。
ですから、年賀状や暑中見舞いなどの宛名を印刷したいと思ってもできません。
また、乗り換えた新しいシステムにコピーしようと思っても簡単にはできません。
会社に尋ねてみると、「個人情報保護」のためとか何とか言い訳をされます。
来店のあったお客様は、サロンのお客様だと考えると思いますが、リクルート社の認識は違うようで、あくまで「リクルート社のお客様」なのです。
「エンドユーザー至上主義」というわけです。
○ 悪い口コミでもサロン側の意見はほとんど聞いてもらえません。
これも、「エンドユーザー至上主義」だからです。
リクルート社にとっては、エンドユーザーがホットペッパーサイトを訪れて、質や値段などの観点で最高のサロンを選んでいただくことが大事であり、よい口コミも悪い口コミも含めて、判断できる材料を提供することが大事という考え方です。
エンドユーザーから苦情が出た際に、対応を迫られる場合もあります。
元々人材派遣会社ですから、サロンは派遣労働者のようなものかもしれません。
派遣労働者が汗水を垂らして働いても、中抜きで取られてしまう部分は多いし、文句も言わせてもらえないわけです。
ホットペッパーと契約すると、コンビニのフランチャイズの店になるようなものかもしれません。
上納金がかなり高く、色々と指示に従わないといけないというわけです。
○ 安売りクーポン競争に陥りがちです。
ご存知の通り、ホットペッパーを訪れる人は、ポイントをためたり、安いクーポンはないかと、色んなサロンに目移りする人が多いので、その安売り競争に巻き込まれかねません。
クーポンメニューをつけることがほとんど必須になります。


独立型システムの利用をお勧めします
広告型ボータルサイトをほぼ独占のホットペッパービューティーは、確かに集客では目に見える効果が期待できるでしょう。
しかし、いったん契約すると、サロンは、リクルート社の一フランチャイズ営業店にでもされてしまうようなもので、毎月、8万〜数十万円を本社に上納させられます。
また、お客様も予約システムに慣れてしまうため、容易にそこから抜け出ることができなくなります。
ですから、すでにサロン経営をされていて一定のお客様がついていて経営がある程度順調に推移している方は、ぜひ独立型のシステムの導入をお勧めします。
既に経営が順調なサロンが新規に導入する場合は、独立型システムがお勧めです。
既に開店していて、ある程度お客様がついていて、あとは、業務の効率化とお客様の利便性を高めたいという場合は、かなり低額で済む独立型の予約システムをお勧めします。
独立型システムのメリット
独立型システムの場合、すぐさま集客効果が見込めませんが、次のようなメリットがあります。
○ 独立しているため、お客様は目移りすることなく予約してもらえる。
予約システムに訪れた時に、お客様がついでに隣のサロンも見てみようと目移りすることはありません。
○ ブランディングが期待できる
ホットペッパーと契約すると、リクルート社の一フランチャイズのような形になります。
写真のレイアウトもメニューの見せ方も、全て他店と似たり寄ったりで、サロンの高級感や風格を出そうにも限度があります。
そうなると横並びさせられた店舗の一つにしか過ぎませんが、独立型システムの場合、そのような安っぽさから解放されるでしょう。
○ 費用があまりかからない。
既に述べた通り、費用があまりかかりません。
逆に言うと、ホットペッパー等に要する金額と独立型予約システムに要する金額の差額を、独自の広告に回すことができます。
独自広告により、ますますブランド価値を高めることができるでしょう。
○ ホームページの上位表示が見込める
常連のお客様は、毎回ホームページからご予約いただくと、ホームページのアクセス数が増えて、ホームページの上位表示が見込めます。
ちなみに、ホットペッパーなどは、ホームページへのリンクを付けてくれないので、ホームページを作っても、ホットペッパーの予約サイトばかりが上位表示されて、ホームページが表示されないということはありがちです。
○ 顧客管理の制約が少ない。
先ほど書いたように、ホットペッパーでは、顧客データのダウンロードができません。
独立型システムでは、基本的にそうような制約はないでしょう。
まず、主な独立型システムの料金について見てみましょう。
主な独立型システムの料金
システム名称 | 予約管理 | 顧客管理 | 売上管理 | プランと価格(税別) | 初期費用 | ||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
Coubic | ○ | ○ | 月謝 | プラチナ 50,000 |
スタンダード
19,800 |
ライト 4,980 |
フリー 0 |
0 | |
RESERVA | ○ | ○ | 月謝 | エンタープライズ 20,000 |
ゴールド
10,000 |
シルバー 5,000 |
ブルー 2,000 |
フリー 0 |
0 |
Airリザーブ | ○ | ○ | ✖️ | プレミアム 問合せ |
ベーシック
5,000 |
フリー 0 |
問合せ |
||
ChoiceRESERVE | ○ | ○ | ✖️ | Enterprise 問合せ |
Pro
20,000 |
Lite 10,000 |
問合せ30,000/20,000 | ||
eReserve | ○ | ? | △ | eリザーブP 10,000 |
eリザーブ
7,500 |
10,000/5,000 | |||
EFFY | ○ | ○ | ○ |
5,000 |
最初の3ヶ月 0 |
0 |
当社のEFFYシステムの他、主なシステムとして5社を選びました。
料金は、一般に月額固定制で、いくつかのプランに分けて設定されています。
ゼロ円で始められるフリープランもありますが、各社のお奨めプランは、5,000円〜20,000円ぐらいです。
それより下位のプランは、機能が十分に備わっていないことに注意が必要です。
また、予約数に制限を設けている場合もあります。
また、上位のプランは、「問い合わせ」となっており、予約数規模等に合わせて見積もるようです。
さらに、初期設定に経費を要するところもあります。その費用が月額固定費より高い場合もありますので、注意が必要です。
適切な売上管理があるかどうか
予約システムとともに、売上管理機能は是非とも欲しいところです。
その理由は。。。
- 電話予約も含め全てシステムに登録するので、予約機能とともに売上機能をつけても全体をカバーできる
- 予約と合わせて売上げが発生するので、簡単に記録ができる。メニューがあらかじめ予約されていれば、尚更簡単
- 売上集計、分析などが可能となる。
- お客様別の売上なども把握できる。
逆に売上機能がないと、お客様お一人お一人の施術メニューや単価を別途エクセルなどにいちいち入力して記録しなければなりませんからも、恐ろしく不便ではないでしょうか。
これらの有名な予約システムの場合は、あらゆる業種に対応している分、その分かえってメニュー構成が複雑になっていないかどうかもチェックが必要でしょう。
売上管理も月謝制を前提としていることが多いようです。
しかし、サロン用の場合は、基本的に施術終了後、その代金をお支払いいただくので、何かの教室の予約システムのように「月額制」ではありません。
様々な業種に対応している場合は、むしろ月額制が多いと思われますので、サロンの場合に使いやすいかどうかは疑問です。
システムが汎用的であると、かえって余計な機能が付いていて、わかりにくいこととなります。
システムの併用
予約の間口を広げるために複数の予約システムを使うことがありますが、その場合、互いに連携していないと、ダブルブッキングやキャッパシティ以上の予約を受け付けてしまう可能性が出てきます。
そのため、主たる予約システムでない方は、当日や翌日などの予約を受け付ないようにするなどの他、お互いの転記が迅速に簡易にできるようでなければなりません。
ホットペッパーと契約しているサロンも、独立型システムへ徐々に移行することをお勧めします。
ホットペッパーと契約している限り、全てホットペーバーという親会社のフランチャイズサロンとして、生きていくことになります。
メニューやクーポンの設定なども全て担当者のアドバイスに従うため、他店との差別化は難しいまま、個性が失われてしまいます。
現実のサロンに個性はあっても、ネット上ではほとんど代わり映えしない一サロンになってしまいます。
また、サービスの品質に価値を見出してリピートしてくださる常連様は、クーポンやポイントあさりのお客とは違います。
リビート客こそが大事であるならば、新規のお客様を集客するためと言って過言ではないホットペッパーなどのいわゆる「クーポンサイト」よりも、独自の予約システムも持った方が良いのではないでしょうか。
予約システムを採用したその日から集客できるということはありませんが、常連のお客様をはじめとして徐々に予約システム利用者を増やしていくことができ、その人たちが真のお客様ということになります。
お客様へのサロン紹介もホットペッパーの制約に囚われることはありません。
スタイリストやスタイルについても、ホームページを主体として、もっとオリジナルな見せ方ができるでしょう。
そして、浮いたお金の一部でも独自の広告に回しましょう。
ホットペッパー代金と比べれば、年賀状や暑中見舞い等の葉書を出すことさえ、それほど高額というわけでもありません。
地域で配布される冊子に広告を載せて、ホットペッパー等を見ない一般のお客さんに対しても知名度を上げることができます。
また、それまでの広告は全てホットペッパー任せという状況を脱して、独自のホームページを中心に、SEO対策をはじめ、いかにすれば集客を図れるか独自の工夫を積み重ねることができます。
このような広報の努力は、あらゆる業種において、これからのWEBマーケティングの時代には、経営者自身の良い経験となりますから、ホットペッパー任せではない広報(ブログ、メルマガ、SNS、動画広告などの活用)に努めていただき、予約システムはその機能に特化したシステムをご選択いただくのが良いかと思います。
まとめ
安直に集客を図ろうとするのであれば、予約システムは、現在独占状態にあるホットペッパーの契約をするのも良いかもしれません。
その日から集客が見込めることでしょう。
しかし、その道は、まさに「安直」という言葉の通り、リクルート社のフランチャイズサロンとなる道であり、サロンの独自性を追求することはできなくなり、多額の掲載料を「本社」に上納することとなり、おまけに、そこから抜け出すことは容易ではなくなります。
ですから、既にお客様がついているサロンで新たに予約システムを導入されようとしている場合はもちろんのこと、新規に開業された場合も、安直にホットペッパーに頼るのではなく、気長に常連のお客様を増やしていくのが良いと思います。
また、既にホットペッパーを利用しているサロンも、ダブルブッキングを防ぐための予約可能期間の設定や、簡易的な転記機能に留意しつつ、独自の予約システムの導入を検討していただくのが良いと思います。
新規のお客様はも独自の広報努力で集客を図るのが、経営者のビジネス感覚を磨く重要な経験ともなります。
今回は、大手クーポンサイトに安直に頼るよりも、独立型の予約システムで、独自のブランディングを図ることをお勧めしました。
当社予約システムについては、また、後日ご紹介したいと思います。